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第129回研究会 高ガス温度プラズマによる超高速材料プロセシング
2016年12月9日(金) 島根県産業技術センター
開催日: | 2016年12月9日(金) |
会場: | 島根県産業技術センター 〒690-0816 島根県松江市北陵町1番地 |
交通の案内: | 島根県産業技術センターへのアクセスについては以下ご参照ください。 ◎松江市営バス ・ソフトビジネスパーク→松江駅 ◎タクシーでも時間は変わらずおよそ15分で,約2,000円です。 |
大気圧程度で発生させる熱プラズマは,ガス温度が10000K程度と非常に高く,原子・化学活性種の密度が非常に高いという特徴を有する。しかし熱プラズマは電磁界的な制御においても大電流スイッチングを必要とし,かつ流体的な制御を伴うため,その制御は比較的難しく,材料プロセスへの画期的な応用には開発時間を要していた。しかし,近年パワー半導体を用いた大電流スイッチングや装置形状・ガス流の工夫等によるガス温度の高い熱プラズマの精緻な制御が行われてきている。そのため,熱プラズマの持つ超高温を利用した溶接・溶射・切断プロセシングのほか,高いラジカル密度を利用したナノ材料生成,堆積膜生成,膜成長,表面改質・アニーリングなどを超高速で行うことが試みられている。
本研究会では高温プラズマのもつ高ガス温度性・化学活性種の高密度性を利用した「高速」あるいは「大量」プロセシングをテーマとし,その有用性,可能性を議論する。
プログラム | |
13:00-13:15 | 総会 堀 勝(学振153委員会委員長) |
13:15-13:25 | 島根県産業技術センター センター長ご挨拶 吉野 勝美(島根県産業技術センター所長) |
13:25-14:10 | (招待講演)高周波熱プラズマの革新的な物作りメリットと操作テクニック Innovative manufacturing merit and operation technique of the Induction thermal plasmas 小牧 久(日本電子株式会社IE事業ユニットIE技術開発部) 高周波誘導熱プラズマを初めて体験或いは,これからビジネスとして役立てようとしている方のために,成膜や溶解,ナノ粒子,球状化などの用途に応じてどのようなメリットがあり,そして未来への可能性があるのかを今までの経験を基に紹介する。更に,熱プラズマを操る上で基本となるプラズマ形状の意味や基礎的な操作テクニックも説明するとともに,昨年発売したばかりのRF6kW高周波誘導熱プラズマの実験或いは少量生産装置と位置付けるTP-40020NPSを是非紹介したい。当初,高周波誘導熱プラズマ装置のために開発した,微粉末を安定に供給できる粉末供給装置(TP-99010FDR)が上記用途以外にも注目されてきたことを機会に,改めて構成や特長も報告する。 |
14:10-14:55 | (招待講演)プラズマスプレーPVD による次世代高密度リチウム2 次電池向け Si 系ナノ複合負極開発 Development of nanostructured Si-based composite anodes for high density Li secondary batteries by plasma spray PVD 神原 淳(東京大学大学院工学系研究科マテリアル工学専攻) プラズマスプレーPVD(PS-PVD)によるSi 系ナノ粒子の複合構造形成と次世代高密度リチウム2次電池負極活物質として可能性を紹介する.冶金級Si 粉末を原料としたPS-PVD によって数10nm のSi ナノ粒子が凝集した高次構造が形成され,リチウムイオン電池負極として明確な電池容量の向上が確認された.SiO 粉末原料の場合には,SiO の還元とナノ粒子成長,不均化反応によってコアシェル複合粒子が形成し,高電池容量と高サイクル維持特性を両立する特性を示した.PS-PVD の凝縮過程で種々複合構造化を一貫工程で導入できる点,これら粒子を実験室装置でも1kg/h の処理速度で製造しうる点は,他手法と区別化する本手法の特長といえる. |
14:55-15:10 | 休憩 |
15:10-15:55 | (招待講演)マイクロ波プラズマCVD によるダイヤモンド単結晶膜の 超高速ホモエピタキシャル成長 Ultra High-Rate Homoepitaxial Growth of Single Crystal Diamond Films by Microwave Plasma-Enhanced CVD 徳田 規夫(金沢大学理工研究域電子情報学系) マイクロ波プラズマCVD によるダイヤモンド単結晶膜の超高速成長技術を紹介する。パワー密度(マイクロ波投入電力/プラズマサイズ)を増加することでプラズマ中の炭素系ラジカルの高密度化を実現し,0.3 mm/h の超高速ホモエピタキシャルダイヤモンド成長技術を開発した。本技術を応用することで,半絶縁体,p 型半導体,低抵抗ダイヤモンドCVD 基板の開発にも成功した。 |
15:55-16:40 | (招待講演)高周波熱プラズマ技術を利用した機能性セラミックス溶射厚膜開発の現状 Development of functional ceramics spray thick film by RF thermal plasma technology 道垣内 将司(島根県産業技術センター),田中 暁巳,竹内 啓,竹内 浩(竹内電機株式会社) 高周波熱プラズマ技術を利用したセラミックス厚膜の作製実験について紹介する。数千℃ の高周波熱プラズマを熱源とした溶射により高融点材料であるセラミックスを完全溶融させて高密度被膜を作製し,数mmから十数mmの厚さに積層させることで薄膜バルク材料として利用することを検討した。作製した皮膜は基材から剥離させて機械加工を施すことが可能な程度の強度を有し,焼結材料と比較して耐熱衝撃性に優れる結果を得た。 |